邪馬台国の時代よりさらに古い、紀元前の倭国の様子が記録されている『漢書』。
別名『漢書地理志』や『漢書地理志燕地条』とも言う漢書は、倭についての最古の記録であるとされています。
漢書とは?信憑性は?
漢書は倭についての記述が一文だけあります。
ごくわずかな情報ですが、それを邪馬台国や倭国の話題でソースとして良いのでしょうか?
信憑性を、漢書とは何か?という視点を踏まえて以下で解説しています。
原文
漢書は中国の歴史書なので、基本的には中国王朝の話しか書いていません。
倭に関する記述はごくわずかなので、該当部分の原文は以下に抜粋しました!

ただし原文の他に、漢書は後年に注釈がつけられています。
倭に関する記述は、この注釈の方が重要です。
注釈の解釈はいくつか説があるので、以下で客観的にまとめました。

さらに、倭の記述の後に方角に関する一文が主語が無く登場します。
これが楽浪郡のことなのか、倭のことなのか、別の国の話なのかで解釈が分かれています。
倭のことだと考える説では、邪馬台国や倭についての方角論争の材料に使用できます。

日本の公式見解?『古事類苑』

漢書地理志の内容については、『古事類苑』という明治政府が主導で編纂した日本唯一の官撰百科事典に意見が掲載されています。
明治政府が主導した史料であるため、日本の公式見解として扱う意見もあります。
「倭の字は、もともろこしの國よりつけたる名にて、その始めて見えたるは、前漢書地理志に、東夷天性柔順、異於三方之外、故孔子悼道不行、設桴於海、欲居九夷、有ル㠯也夫(ユヱカナ)、樂浪海中有倭人、分爲百餘國、㠯歲時來獻見云、といへる是なり、その後の書どもにも、みなかく倭人といひ、又はぶきて倭とのみもいへり、
さて倭とは、いかなる意にて名づけつるにか、その由はさだかに見えたる事はなけれども、かの漢書に、東夷天性柔順と書出して、有倭人とつらねいへるを思へば、班固が意は、說文に此倭ノ字の本義を順貌と注したると同じくて、柔順なる故に倭人とはいふと心得たるごとく聞ゆめり、されどそれも字につきてのおしはかりなるべし、」
『古事類苑』地部 倭条
『古事類苑』の詳細は別途記事にしています。
漢書に関する考察・研究など
漢書を出典とした考察や研究などの情報は以下の記事群です。
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