邪馬台国の時代より古い、紀元前の倭国の様子が記録されている『漢書』。
別名『漢書地理志』や『漢書地理志燕地条』とも言う漢書は、倭についての最古の記録であるとされています。
目次
漢書とは
漢書は、中国の王朝・前漢1について記した歴史書です。
「本紀」12巻・「列伝」70巻・「表」8巻・「志」10巻の合計100巻で構成されています。

「志」の第8巻・地理志の燕地条は、中国の燕国・燕州について記述した条です。
この中に、倭についての現状最古の記録が残っています。
ただし、現在出回っている漢書は、後年に顔師古がつけた注釈付きのものです。
資料データ

著者 | 班彪、班固、班昭、馬続 |
成立年 | 82年頃(諸説あり) |
漢書は『史記』がベースになっています。
信憑性
漢書
メリット
- 歴史上の記録を重視した記述になっていて正確性が高い
- 通史ではなく断代史なので内容が専門的
デメリット
- 前漢時代以降に生まれた複数人が編纂している
『漢書』は中国の正史(二十四史)の中で『史記』と並んで最高の評価を受けています。
特に歴史上の記録という面を重視されていることから、記述内容の正確性は『史記』より高いとされています。
ただし、実質前漢時代を生きていない複数人が記載しているため、細かい内容の正確性には若干疑問が残ります2。
断代史(一つの王朝に区切った歴史書)なので、前漢に特化した内容になっている!
『史記』との関係
同じく前漢のことを記述している歴史書に、紀元前90年頃に完成している『史記』があります。
しかし『史記』は、完成から前漢が終わる紀元後8年までの約20年分の記述がありません。
他にも矛盾点や不統一性があるなど、内容に心もとない面があったようです。
そこで『史記』の後を引き継ぎつつ批判する形で、班彪が64編からなる”後伝”を作成していました。
その班彪の子である班固が『史記』と”後伝”を基に『漢書』を作成しています。
編纂者 | 生没年 | 役職 | 功績 |
---|---|---|---|
司馬遷 | 紀元前145/135年~ 紀元前87/86年 | 前漢の歴史家 | 紀元前90年頃に『史記』を完成 ただし前漢は紀元後8年までの王朝 |
班彪 | 3~54年 | 後漢の歴史家 | 『史記』を引き継ぐ”後伝”を作成 |
班固 | 32~93年 | 班彪の息子 後漢の歴史家・文学者 | 『史記』と”後伝”を基に漢書を作成 漢書の作成途中で獄死 |
班昭 | 45~117年 | 班彪の娘 中国初の女性歴史家 | 八表・天文志を書き継いで漢書を完成 |
馬続 | 詳細不明 | 学者 | 班昭を助けたとされている |
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漢書(前漢書/漢書地理志) 原文全文【解説なし】
本記事では、漢書(前漢書/漢書地理志)の倭や邪馬台国に言及した部分の原文全文を掲載しています。現代語訳や解説は含まれていません。文意の理解には別記事の解説編もご参照ください。
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