卑弥呼は何者か?人物比定説を列挙してみた

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卑弥呼は、言わずと知れた邪馬台国の女王。しかし、実在したかどうかを含め、どんな人物だったのかは詳しく分かっていなません。卑弥呼について分かっていることや人物比定説を紹介します。

卑弥呼は魏に使者を送り、倭の王として認められた存在です。
そのため、字のない当時の日本でも卑弥呼のことは伝承(口伝)として残されている可能性が高いと考えられます。
日本書紀や古事記をはじめとする、日本の古典史料に登場する人物が卑弥呼と同一人物であっても不思議ではありません。
そこで、卑弥呼は何者なのか、という論争が起こっています。

目次

神功皇后説

舎人親王は、『日本書紀』の中で「卑弥呼と神功皇后が同一人物」とする記述を認めています。
詳細は別記事にまとめていますので、以下を参照してください。

天照大神説

岩戸隠れ伝説における天照大神は、卑弥呼のことではないかとする説があります。
さらに岩戸隠れ伝説は、皆既日食が関わるとの指摘もあります。
卑弥呼没頃に日本近辺で皆既日食が起こった可能性が高いです。

倭迹迹日百襲媛命説

第7代・孝霊天皇の皇女・倭迹迹日百襲媛命(やまとととひももそひめのみこと)とする説です。
『日本書紀』では倭迹迹日百襲姫命または倭迹迹姫命、『古事記』では夜麻登登母母曾毘賣命と書かれています。

なお倭迹迹日百襲姫命の墓は、箸墓古墳です。

女酋・豪族説(偽王朝説)

この説はさらに、熊襲説や九州の豪族説など細かく分かれますが、共通することは、倭国をまとめる一国の王と言うわけではなく、豪族など一部地域の王であったとする説です。

特に特徴的な説として、もともと畿内に朝廷があったものの、その朝廷は中国とはやり取りしていないという偽王朝説があります。
九州の熊襲や一部地域の豪族などが朝廷を名乗り、偽の卑弥呼として中国とやり取りをしていたという説です。

この場合、豪族たちは卑弥呼の名前を借りただけなのか、嘘をついて邪馬台国や朝廷だと自称したのか、などでも解釈が変わります。
「国の場所については嘘をついておらず、魏志倭人伝は九州について記述している。しかし本物の朝廷は畿内にあった」とする考えや、
「場所自体も嘘をついており、魏志倭人伝の内容も実態も畿内を指しているが、使者を送ったのは豪族(熊襲)」という考えなど、さまざまに分かれています。

良い点

魏志倭人伝の内容と出土品等の実態が合わないことに関する説明を付けやすいです。

例えば、仮に卑弥呼が貰った金印が九州から見つかって九州説が正解だったとしても、畿内に沢山ある大型古墳の存在もまた事実です。
九州説では通常、卑弥呼たちが九州にいたのになぜ機内に大型古墳が多くあるのかを説明しなければなりません。

しかし偽王朝説では、金印を貰ったのは九州の偽王朝であり、畿内の古墳は本物の王朝のものだ、といった説明が可能です。

悪い点

偽王朝として何十年も騙しきることができるかは少々疑問です。

実在しない説

卑弥呼は実在しなかったとする説もあります。
理由はいくつかありますが、全てをまとめて1つの根拠にしているわけではなく、説によって採用する理由が異なります。

単に証拠がないから

「親魏倭王」の金印を中国からもらうほどの女王ながら、長い間史跡(遺跡)が見つかっていません。
また、それだけの功績ならば墓や国の場所も口伝や伝説の話として残っていてもおかしくないですが、それもありません。
さらに、『日本書紀』をはじめとする古典史料には、卑弥呼以前の歴史が書かれていても卑弥呼に関する記述がありません。

よって、単純に長い間証拠が出ないため、実は卑弥呼は存在しなかったとする説です。

戦略的なでっち上げ

卑弥呼が朝貢し始めた景初二年(238年)当時の中国は、魏呉蜀の三国時代です。
さらにその三国もそれぞれの国内に豪族をいくつも抱えている状況で、魏呉蜀を中心に絶えず戦争が行われていました。
一方で、中国周辺には鮮卑や高句麗といった力のある勢力が東西南北にあり、三国はそういった国と戦争や外交を実施しています。

魏は、蜀(西方)に対抗するため、クシャーナ朝(中央アジア・北インド)に金印を送っています。
同様に、呉(南方)に対抗する必要があったものの、呉が東方の海に逃げてしまえば魏に勝ち目がありません。
(赤壁の戦いにて海戦があったが、魏は呉に大敗しています。もともと魏は経験が少ないなどの理由から海戦が得意ではありません。)

そのために、東の海の向こうにいる倭国を味方につけて呉が海へ逃げられないようにすべく、話をでっち上げたと考える説です。

卑弥呼は、言わずと知れた邪馬台国の女王。しかし、実在したかどうかを含め、どんな人物だったのかは詳しく分かっていなません。卑弥呼について分かっていることや人物比定説を紹介します。

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