『漢書』に記されている倭国・邪馬台国に関する原文を抜粋して掲載しています。
現代語訳や考察などは別ページにてご案内しています。
目次
原文
中国の四夷思想
倭に直接関係しませんが、中国が東の国に特別な感情を持っていた可能性がある一文があります。
倭国が東の国に属するとすれば、注目すべき一文です。
玄菟楽浪 武帝時置 皆朝鮮 濊貉 句麗蛮夷
『漢書』巻28 地理志 燕地条
殷道衰 箕氏去之朝鮮 教其民以礼儀 田蠶織作
可貴哉 仁賢之化也
然東夷天性柔順 異於三方之外
故孔子悼道不行 設浮於海 欲居九夷 有以也夫
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四夷思想
四夷思想とは、古代中国が自国を文明の中心とし、周辺の異民族を東夷・南蛮・西戎・北狄に分類して「野蛮」と見なした思想です。
中華思想の一部として、外交や朝貢制度の理論的基盤となりました。
ただし、礼を重んじる異民族は「華」として受け入れる柔軟性もありました。
倭国概要
倭国関する記述は、漢書では次の一文だけです。
楽浪海中有倭人 分為百餘國 以歳時來献見云
『漢書』巻28 地理志 燕地条
この文のあとに、後年に追加された注釈が記載されています。
如淳曰:如墨委面 在帶方東南萬里
『漢書』巻28 地理志 燕地条
臣瓚曰:倭是國名 不謂用墨 故謂之委也
師古曰:如淳云『如墨委面』 蓋音委字耳 此音非也 倭音一戈反 今猶有倭國 魏略云倭在帶方東南大海中 依山島為國 度海千里 復有國 皆倭種
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『漢書(前漢書/漢書地理志)』の倭に関する注釈論争
漢書の原文で倭に関する記述は、実質「楽浪海中有倭人分為百餘國以歳時來献見云」の一文だけです。邪馬台国論争において重要なのは、この一文に対して後年に3人が付けた注釈です。
楽浪郡から倭までの記述の最後(次の一文)に、主語が無い記載があります。
楽浪郡のことを指すのか、倭のことを指しているのかは不明です。
自危四度至斗六度謂之析木之次燕之分也
『漢書』巻28 地理志 燕地条
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『漢書(前漢書/漢書地理志)』の方角論争
漢書の倭に関する記述で「楽浪海中有倭人分為百餘國以歳時來献見云」の次の一文が倭の話だとすれば、倭国のことを知る手がかりになる重要な記述です。
出典
原文を見る@漢籍電子文献資料庫
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2025.05.20 閲覧確認
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